1 次 ODE について、完全な解法アルゴリズムが解くことのできない最も単純な問題は、アーベル方程式として知られています。この方程式は以下の形式です。

ここで、 は未知で、 および  は  の任意関数です。可解として知られている最大のアーベル方程式のサブクラスは、弊社の研究チームが発見した AIR 4 パラメータクラスです。Maple 16 では AIR 以外に、2 つの 1 パラメータクラスのアーベル方程式が可解です。

例

PDEtools[declare](y(x), prime=x);

以下の第二種のアーベル方程式は、1 パラメータ  に依存し、超幾何学的な関数によって解かれます。

ode[1] := diff(y(x),x) = -y(x)*(-3+x)*((-9+2*alpha)*y(x)-9)/(x*(54-36*x+6*x^2-3*alpha+2*alpha*x)*y(x)+9*alpha+81-54*x+9*x^2);

dsolve(ode[1]);

完全に可解であるアーベル方程式の関連クラスは、変数を変更することで方程式 (2) から得られる方程式群で構成されます。

ここで、 と 4 つの  は、 の任意の有理関数で、これはアーベル方程式の形式を保持し、アーベル ODE クラスを生成する最も一般的な変換です。

任意関数  に応じたつぎの ODE 群は、アーベル方程式以上に困難な問題、つまり、右辺の  の 4 乗に関する問題に取り組んでいます。

ode[2] := diff(y(x),x) = 1/2*(G(x)^2*y(x)^4-diff(G(x),x)*y(x)^2+x)/G(x)/y(x);

平方根によって解があいまいになるのを回避するために、陰的解法で解きます。

sol[2] := dsolve(ode[2], y(x), implicit);

odetest(sol[2], ode[2], y(x));

任意関数  に関する、Maple 16 で可解である上記の問題の一般化

ode[3] := diff(y(x),x) = 2*G(y(x))*x/(2-D(G)(y(x))*x^2+G(y(x))^2*x^4-2*y(x)*G(y(x))*x^2);

sol[3] := dsolve(ode[3]);

odetest(sol[3], ode[3]);

弊社が開発した新規アルゴリズムを使用して、Maple 16 のdsolve コマンドは、独立 () または従属 () 変数の任意関数に関する ODE 群を使用して、2 次、3 次、4 次の問題の新規の 2 つの非線形 ODE 群を解きます。

例

4 次 ODE 群

ode[4] := diff(y(x), x$4) = 5*y(x)*diff(y(x), x$3) + (10*diff(y(x), x) - 10*y(x)^2-1/x)*diff(y(x), x$2) - 15*y(x)*diff(y(x), x)^2+(10*y(x)^3 + 3/x*y(x))*diff(y(x),x) - y(x)^5 - 1/x*y(x)^3;

この ODE は点対称ではありません。PDE の対称性の無限小 を求める場合は、両方が 0 となることのみを認めます。

PDEtools:-DeterminingPDE(ode[4]);

新規アルゴリズムを使用すると。この問題はベッセル関数の明示型で可解です。

dsolve(ode[4]);

3 次の点対称を認めない問題を以下に示します。

ode[5] := diff(y(x), x$3) = (4*y(x)-1/x)*diff(y(x), x$2) + 3*diff(y(x), x)^2 + (-6*y(x)^2+3/x*y(x)-x)*diff(y(x), x) + y(x)^4 - 1/x*y(x)^3 + y(x)^2*x - y(x);

dsolve(ode[5]);

点対称が存在していても積分目的で使用されない 2 次の非線形 ODE 問題 (解かれていない 4 次線形 ODE に関する)

ode[6] := diff(y(x), x, x) = x*(diff(y(x), x))^3*y(x)+x^2*(x-1)*(diff(y(x), x))^3+(-3*x+1)*(diff(y(x), x))^2;

sol[6] := dsolve(ode[6]);

odetest(sol[6], ode[6]);

既存のアルゴリズムの改良点を示している 3 次の ODE 問題。旧リリースでは、この方程式は解決していない RootOf 式の未計算積分についてのみ解かれました。現在は解は有理関数として明示的に計算されます。

ode[7] := diff(y(x), x$3) + 4*y(x)*diff(y(x), x$2) + 3*diff(y(x), x)^2 + 6*y(x)^2*diff(y(x), x) + y(x)^4 = 0;

sol[7] := dsolve(ode[7]);

odetest(sol[7], ode[7]);

dsolve は PerformOnAnticommutativeSystem で説明する手法を使用した Physics パッケージを使用して 非可換変数 に関する ODE を解くことができます。

with(Physics, Setup);

最初に  と  を type/anticommutative 変数の接尾辞として設定します (Setup を参照)。

Setup(anticommutativepre = {theta, Q});

可換変数  の非可換関数  の常微分方程式を考えます。

diff(Q(x), x, x) - Q(x)*diff(Q(x), x) = 0;

dsolve を使用した解は非可換定数  を含み、可換定数  と似ています。

dsolve((23));

dsolve および pdsolve は、PerformOnAnticommutativeSystem で説明する手法を使用した Physics パッケージを使用して、非可換変数を含む PDE を解くことができます。

with(PDEtools), with(Physics):

最初に  と  を type/anticommutative 変数の接尾辞として設定します (Setup を参照)。

Setup(anticommutativepre = {theta, Q});

可換および非可換変数  の非可換関数  の偏微分方程式を考えます。

diff(Q(x, y,theta), x, theta) = 0;

pdsolve を使用した解

pdsolve((26));

非可換定数  の導入は、可換定数  に似ています。n は整数です。導入される任意関数  は通常どおりすべて可換で、グラスマニアンパリティ (左辺と比べた場合の右辺) が保持されます。

Physics:-GrassmannParity((27));

2 つの可換と 2 つの非可換変数を持つ 4 変数の 1 つの未知の非可換関数  を持つ PDE の例。後に続く冗長な入力を回避し、スクリーンに冗長な情報を表示しないために、PDEtools:-declare および PDEtools:-diff_table を使用します。これは Physics が読み込まれるときに Physics:-diff を自動使用することで非可換変数を扱います。

PDEtools:-declare(Q(x, y, theta[1], theta[2]));

q := PDEtools:-diff_table(Q(x, y, theta[1], theta[2])):

微分変数によってインデックス付けられた関数名として導関数を直接入力でき、2 つの PDE を同じ方法で表示します。

pde[1] := q[x, y, theta[1]] + q[x, y, theta[2]] - q[y, theta[1], theta[2]] = 0;

pde[2] := q[theta[1]] = 0;

このシステムの解

pdsolve([pde[1], pde[2]]);

dsubs コマンドは、PerformOnAnticommutativeSystem で説明した手法を使用しなくても非可換変数を扱います。問題から、pde[2] の導関数は pde[1] で置き換えられ問題を単純なものにすることが可能です。

dsubs(pde[2], pde[1]);

pdsolve((33));

 の結果を pde[2] と置き換え、 を乗算し上記から減算すると PDE の解になります。

微分消去手法と PerformOnAnticommutativeSystem で説明する手法を使用して、例題の ReducedForm は dsubs と同じ結果になります。

PDEtools:-ReducedForm(pde[1], pde[2]);

PerformOnAnticommutativeSystem によって非可換変数を扱うその他の更新されたコマンドは casesplit です。 の線形システムと導関数により以下を出力します。

casesplit([pde[1], pde[2]]);

適所のコア機能により、ほとんどの対称性コマンドは非可換変数を扱い、それらのほとんどは PerformOnAnticommutativeSystem を使用しません。

pde[1] および pde[2] による PDE の無限小の一般形式を設定します。この目的のため、従属変数  と 2 つの独立変数  と  について非可換無限小が必要です。ここでは非可換対称性無限小生成作用素について大文字  と  を使用します。可換のものについては小文字を使用します。

Setup(anticommutativepre = {Xi, Eta}, additionally);

S := [xi[1], xi[2], Xi[1], Xi[2], Eta](x, y, theta[1], theta[2]);

PDEtools:-declare(S);

対応する InfinitesimalGenerator

InfinitesimalGenerator(S, Q(x,y,theta[1], theta[2]));

 について無限小の延長を出力するテーブル関数は Eta_k によって計算され、ここでは小文字  に割り当てられより分かりやすい表記を使用します ( を参照)。

eta := Eta_k(S, q[]);

 と  に関する の最初の延長

eta[Q, [x]];

eta[Q, [theta[1]]];

 と  に関する  の 2 番目の混合延長

eta[Q, [x, y]];

eta[Q, [x, theta[1]]];

このシステムの DeterminingPDE  

DeterminingPDE([pde[1], pde[2]], S);

対称性無限小の厳密な型を計算するためには、pdsolve を使用して可換および非可換関数について PDE を解くか、システムのすべてのステップを自動実行する Infinitesimals に直接渡すことができます。

pdsolve((46));

S を代入して対称性無限小の一覧を得ます。

subs((47), S);

Infinitesimals は非可換変数についても 機能します。関連する結果は特殊化されます。

Infinitesimals([pde[1], pde[2]], q[], S);

結果を検証するには、SymmetryTest を使用します。これは非可換変数を使用します。

map(SymmetryTest, [(49)], [pde[1], pde[2]]);

これらの 3 つの対称性無限小の一覧を左辺にラベルを付けて表示するには、map を使用します。

map[3](zip, `=`, S, [(49)]);