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1 MapleSim の概説
この章の内容は以下のとおりです:
MapleSim での物理モデリング
MapleSim ウィンドウ
基本チュートリアル:RLC 回路と DC Motor のモデリング
1.1 MapleSim での物理モデリング
物理モデリング (物理ベースのモデリング) は、数学と物理法則を組み合わせ、エンジニアリングにおけるコンポーネントまたは相互接続したコンポーネントシステムの動作を説明します。大部分のエンジニアリングシステムは力学と関連しているため、その動作は一般的に常微分方程式 (ODE) を使用して定義されます。
モデルを速く簡単に作成できるように、MapleSim は以下の機能を備えています:
トポロジー (非因果的) システム表現
従来のモデリングツールで使用される信号フローアプローチでは、システムの入出力を明確に定義する必要があります。一方、MapleSim では、トポロジー表現を使用することにより、信号のフローを考慮する必要なしに、関連コンポーネントを接続することができます。
数学モデルの作成と簡略化
トポロジー表現は、容易に数学表現に対応付けられ、MapleSim の記号機能によってシステム方程式が自動的に生成されます。
MapleSim がシステム方程式を生成するとき、冗長な方程式および、0 や 1 による乗算は数式簡略化ツールによってすべて取り除かれます。そして式は、まとめたり、減らしたりされ、正確さを失わずにシステムを表現する最小集合の方程式になります。
ソルバ
トポロジーアプローチでは、モデル定義に代数制約が取り入れられています。ODE と代数制約を組み合わせた問題は微分代数方程式 (DAE) と呼ばれます。制約の性質によって DAE の問題の複雑度が変わる場合があります。問題の複雑度は DAE のインデックスで示され、高いほど DAE の複雑度が増します。
複雑な DAE のための汎用ソルバの開発は、記号計算の分野における多くの研究のテーマです。計算エンジンとして Maple を採用している MapleSim は、高インデックス DAE を解く、最新の記号技術と数値技術を集結した高度な DAE ソルバを実現しています。
非因果的モデリングと因果的モデリング
モータやパワートレインなど本物の機械は相互作用する一連の物理コンポーネントから成り立っており、一般的に、ブロックダイアグラムを使用してモデリングされます。2 つのブロックがラインで接続されている場合、これらは物理法則によって結ばれていることを示します。
ソフトウェアによるシミュレーションについて、ブロックダイアグラムは因果的または非因果的に分類することができます。多くのシミュレーションツールは因果的 (信号フロー) モデリングに限定されています。これらのツールでは、基本的に時変数値である単方向信号がブロックの方向に流れます。ブロックでは、信号に対し予め定義されている数学操作が実行され、結果はブロックの反対側から出力されます。このアプローチは、制御システムやデジタルフィルターなど信号が単方向にしか進まないモデリングシステムに適しています。
このアプローチは代入に似ており、右側で既知変数または変数集合に関する計算が行われ、結果が左側の別の変数に代入されます:
実際の物理コンポーネントがどのように相互作用するかをモデリングするには別のアプローチが必要です。非因果的モデリングでは、接続された 2 つのブロックからの信号は両方向に流れます。プログラミングでは、単純な等式に似ているといえます:
信号には、エネルギーや電流、回転力、熱流量、質量流など、どの (物理量) を保存する必要があるかなどの情報が含まれます。そしてブロックには、従う必要がある物理法則 (方程式) などの情報、つまり、保存する必要がある物理量が含まれます。
MapleSim では、両方のアプローチを使用することができます。例えば、関連するロジックとのシミュレーションには物理システムを非因果的モデリングで表し、制御ループのシミュレーションには因果的モデリングを使用するなど、実行するタスクに最適なアプローチを選択することができます。
Through 変数と Across 変数
非因果的モデリングアプローチを使用する場合、モデリングしているコンポーネントの「through」変数と「across」変数の確認が有効です。一般的に、across 変数はシステム内の原動力を表し、through 変数は保存量の流れを表します:
例えば、電子回路において through 変数 i は電流であり、across 変数 V は電圧降下です:
下の表は、他のドメインにおける through 変数と across 変数の例です:
ドメイン
Through
Across
電気
電流 (A)
電圧 (V)
磁気
磁束 (Wb)
起磁力 (A)
メカニカル (平行移動)
力 (N)
速度 (m/s)
メカニカル (回転)
トルク (N.m)
角速度 (rad/s)
水力
流量 (/s)
圧力 (N/)
熱流量
熱流量 (W)
温度 (K)
簡単な例を挙げると、抵抗の支配方程式は以下のように表されます。
上記方程式に Kirchhoff の電流保存の法則を組み合わせると、回路を完全に表現することができます。
and
この例を拡張した下の回路図は、resistor (抵抗)、inductor (コイル) と capacitor (コンデンサ) が直列に接続された電気回路、RLC 回路です:
この回路を手動でモデリングする場合、抵抗、コイル、およびコンデンサはそれぞれ以下の特性方程式で表すことができます:
Kirchhoff の法則を適用すると、それぞれポイント a、ポイント b、ポイント c について以下の保存方程式が成り立ちます:
これらの方程式を、入力電圧の定義 (シミュレーションを開始して 1 秒後に 0 ボルトから 1 ボルトへ変動と定義) と合わせると、以下の式になります。
この式からは、モデルを定義し、回路を流れる電流と電圧を求めるために十分な情報が得られます。
MapleSim では、これらの計算がすべて自動的に行われます。つまり、ユーザは回路を描き、コンポーネントのパラメータを指定するだけで十分です。この原則は、MapleSim における全エンジニアリングドメインにおいて同じように適用され、あるドメインのコンポーネントを簡単に別のドメインのコンポーネントと接続することができます。
本章の基本チュートリアル:RLC 回路と DC Motor のモデリングで上記 RLC 回路を実際にモデリングします。下の図は、MapleSim で作成される RLC 回路図を表します。
1.2 MapleSim ウィンドウ
デフォルトの表示では、MapleSim ウィンドウは以下のペインとコンポーネントで構成されています:
コンポーネント
説明
メインツールバー
シミュレーションを実行するツールやモデルに MapleSim 解析テンプレートを添付するツール、一般的なほかのタスクを実行するツールなどが配置されています。
Navigation ツールバー
モデルやサブシステムを階層的に参照したり、モデルの表示を変更するツールが配置されています。
モデルワークスペースのツールバー
オブジェクトを配置したり、選択するツールと注釈やプローブなどの要素を追加するツールが配置されています。
パレットペイン
モデルの作成と、MapleSim プロジェクトの管理に使用できるツールを含む展開可能なメニューが配置されています。このペインは 2 つのタブで構成されています:
Libraries タブ:モデルの例題およびモデルに追加できるドメイン特有のコンポーネントを含むパレットが配置されています。
Project タブ:モデルの閲覧や作成、シミュレーション結果やプローブ、モデルに添付されるドキュメントの管理に役立つツールを含むパレットが配置されています。
モデルワークスペース
2-D 回路図でモデルを作成および編集するエリアです。
コンソール
以下のペインで構成されています:
ヘルプペイン:モデリングコンポーネントに関連するヘルプトピックを表示します。
メッセージコンソールペイン:シミュレーション中、MapleSim エンジンの状態を示す進捗メッセージを表示します。
デバッグペイン : モデルの作成に伴う診断メッセージを表示します。
それぞれのペインは、コンソールの下にあるボタン ( ) を使用すると表示できます。
3-D ワークスペース
マルチボディ系の 3-D 画像表示を構築・解析・再生できる可視化エリアです。モデルに対する編集・変更は、3-D ワークスペース、モデルワークスペースの両方で、随時自動的に反映されて行きます。
パラメータペイン
以下のタブで構成されています:
Inspector タブ:名前やパラメータ値などモデリングコンポーネントのプロパティを表示および編集、シミュレーションのオプションおよびプローブの値を指定することができます。
Settings タブ: シミュレーションの長さなどのミュレーションオプションや、ソルバ、シミュレーションエンジン、3-D ワークスペースに対するオプションのパラメータ値を指定します。
Plots タブ:シミュレーショングラフとプロットウィンドウの表示オプションを指定することができます。
このペインの内容は、モデルワークスペースで選択されているものによって変わります。
1.3 基本チュートリアル:RLC 回路と DC Motor のモデリング
このチュートリアルでは、MapleSim のモデリングコンポーネントおよび基本ツールを紹介し、因果的モデルと非因果的モデルを組み合わせる機能について説明します。
このチュートリアルでは、以下のタスクを実行します:
1. RLC 回路モデルを作成します。
2. コンポーネントのプロパティを指定するパラメータ値を設定します。
3. シミュレーションで確認するデータの値を読むプローブを追加します。
4. RLC 回路モデルをシミュレートします。
5. RLC 回路ダイアグラムを修正し、単純な DC motor モデルを作成します。
6. さまざまなパラメータ値で DC motor モデルをシミュレートします。
RLC 回路モデルの作成
RLC 回路ダイアグラムを作成するには、コンポーネントをモデルワークスペースに追加し、システム内の各コンポーネントを接続します。この RLC 回路モデルの例では、電気コンポーネントライブラリの ground、resistor、inductor、capacitor、signal voltage ソースコンポーネントを使用します。また、step 入力ソースも使用しますが、これは回路内で入力電圧レベルを動かす信号発生器です。
1. モデルワークスペース左側の Libraries タブで、電気の横に配置されている三角形をクリックしてパレットを展開します。同様に、アナログメニューを展開し、Passive サブメニューを開きます。
2. 電気 → アナログ → Passive メニューから、Ground コンポーネントをモデルワークスペースにドラッグします。
3. 残りの電気コンポーネントをモデルワークスペースに追加します。
電気 → アナログ → Passive → Resistors メニューから、Resistor コンポーネントを追加します。
電気 → アナログ → Passive → Inductors メニューから、Inductor コンポーネントを追加します。
電気 → アナログ → Passive → Capacitors メニューから、Capacitor コンポーネントを追加します。
電気 → アナログ → Sources → Voltage メニューから、Signal Voltage コンポーネントを追加します。
4. 各コンポーネントをドラッグし、下の図のような配置にします。
5. Signal Voltage コンポーネントを時計回りに回転させるために、モデルワークスペースで Signal Voltage コンポーネントを右クリック (Macintosh では Control クリック) し、Rotate Clockwise を選択します。
6. Signal Voltage コンポーネントを左右に反転させるために、もう 1 回 Signal Voltage コンポーネントを右クリック (Macintosh では Control クリック) し、Flip Horizontal を選択します。プラスのポート (青色) が上にあることを確認します。
7. Capacitor コンポーネントを時計回りに回転させるために、モデルワークスペースで Capacitor コンポーネントを右クリック (Macintosh では Control クリック) し、Rotate Clockwise を選択します。
次に、モデリングコンポーネントを接続し、システムにおける相互関係を定義します。
8. マウスポインタを Ground コンポーネントのポート上に移動させます。ポートは緑で強調表示されます。
9. Ground 入力ポートをクリックし、接続ラインを引きはじめます。
10. マウスポインタを Signal Voltage コンポーネントのマイナスポート上に移動させます。
11. ポートを 1 回クリックします。Ground コンポーネントと Signal Voltage コンポーネントが接続されます。
12. 残りのコンポーネントを下の図のように接続します。
次に、モデルにソースを追加します。
13. 信号ブロックパレットを展開します。ソースメニューを展開し、実数サブメニューを開きます。
14. Step ソースをパレットからドラッグしてモデルワークスペース内の Signal Voltage コンポーネントの左側に配置します。
Step ソースには明確な信号フローがあり、接続ライン上の矢印で表されます。このフローによって回路は入力信号に反応します。
15. Step ソースを Signal Voltage コンポーネントに接続します。完成した RLC 回路モデルを下の図に示します。
コンポーネントプロパティの指定
コンポーネントのプロパティは、モデルのコンポーネントにパラメータ値を設定することで指定できます。
1. モデルワークスペースで、Resistor コンポーネントをクリックします。モデルワークスペース右側の Inspector タブに抵抗の名前とパラメータ値が表示されます。
2. R フィールドに 24 を入力し、Enter を押します。これで抵抗が 24 に変更されます。
3. 他のコンポーネントに以下のパラメータ値を指定します。パラメータの単位を指定する場合は、パラメータ値フィールド横のドロップダウンメニューからその値を選択します。
Inductor のインダクタンスに を指定します。
Capacitor のキャパシタンスに を指定します。
Step ソースの の値に 0.1 s を指定します。
プローブの追加
シミュレーションのためのデータ値を指定するには、モデルのラインまたはポートにプローブを追加する必要があります。例として、RLC 回路の電圧を測ります。
モデルワークスペースのツールバーで、プローブボタン ( ) をクリックします。
マウスポインタを、Inductor コンポーネントと Capacitor コンポーネントを接続しているライン上に移動させます。ラインが強調表示されます。
ラインを 1 度クリックします。モデルワークスペースにプローブが表示されます。
配置するために、プローブをドラッグし、1 回クリックしてライン上に置きます。
プローブを選択します。モデルワークスペース右側の Inspector タブにプローブのプロパティが表示されます。
シミュレーショングラフに電圧量を組み込むために、Voltage チェックボックスを選択します。
モデルワークスペースでこの物理量を個別の名前で表示するために、下に示すように、Voltage と入力し、Enter を押します。
プローブが接続ラインに追加されます。
RLC 回路モデルのシミュレーション
モデルのシミュレーションを実行する前に、シミュレーション時間を指定することができます。
1. パラメータペイン上部の Settings タブをクリックし、ソルバセクションでシミュレーション終了時間 () を 0.5 秒に設定します。
2. コンパイラを false に設定し、Enter を押します。
3. メインツールバーで、シミュレーションボタン ( ) をクリックします。MapleSim によってシステム方程式が生成され、step 入力へのレスポンスがシミュレートされます。
シミュレーションが完了すると、電圧レスポンスがグラフ上にプロットされます。
4. モデルを RLC_Circuit1.msim という名前で保存します。プローブおよび変更したパラメータ値はモデルの一部として保存されます。
単純な DC Motor モデルの作成
次に、起電力 (EMF) とメカニカル inertia コンポーネントを RLC 回路モデルに追加し、DC motor モデルを作成します。この例では、検索機能を使用して RLC 回路モデルにコンポーネントを追加します。
1. Libraries タブのパレットエリアの上にある検索フィールドに EMF と入力します。ドロップダウンリストに検索結果が表示されます。
2. ドロップダウンリストから、Rotational EMF を選択します。Rotational EMF コンポーネントが検索フィールド横の四角内に表示されます。
3. 検索フィールド横の四角から、Rotational EMF コンポーネントをモデルワークスペースにドラッグし、Capacitor コンポーネントの右側に配置します。
4. 検索フィールドで Inertia を検索します。
5. Inertia コンポーネントをモデルワークスペースに追加し、Rotational EMF コンポーネントの右側に配置します。
6. 各コンポーネントを下の図のように接続します。
注意 : Rotational EMF コンポーネントのプラスのポート (青色) を接続するには、ポートを 1 回クリックし、マウスポインタを capacitor (コンデンサ) と inductor (コイル) を接続するラインにドラッグして、ラインをクリックします。
7. モデルワークスペースで、Rotational EMF コンポーネントをクリックします。
8. Inspector タブで、transformation coefficient (変換係数) k の値を 10 に変更します。
9. Step コンポーネントをクリックし、パラメータ の値を 1 に変更します。
DC Motor モデルのシミュレーション
モデルワークスペースで、Probe1 を削除します。
モデルワークスペースツールバーのプローブボタン ( ) をクリックします。
マウスポインタを Rotational EMF コンポーネントと Inertia コンポーネントを接続するライン上に移動させます。
ラインをクリックし、次にプローブを 1 回クリックして配置します。
プローブを選択します。
Inspector タブで、Speed チェックボックスと Torque チェックボックスを選択します。保存量のフロー方向を示す矢印がついたプローブがモデルに追加されます。
モデルワークスペースで、空白部分をクリックします。
Settings タブで、シミュレーション終了時間 () を 5 秒に設定します。
メインツールバーのシミュレーションボタン ( ) をクリックします。下のグラフが表示されます。
9. モデルを DC_Motor1.msim という名前で保存します。
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